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2005/09/03

被災者に貴賤無し

今回のハリケーンカトリーナによるアメリカ南西部の被害に対し、トヨタ、日産、ホンダの各社は、それぞれ独自に結構な額の義援金や救援用車両を提供することを表明した。

もちろん人道的には結構なことなのだが、その対応の素早さ、規模の大きさに、ちょっと素直に受け止められない自分がいた。

カリブ海沿岸のハリケーン被害は、アメリカだけの事ではない。中米の国々も、よくハリケーンの被害に遭っている。私が協力隊でパプア・ニューギニアに行っていた98年にも、ハリケーンミッチがニカラグアやホンジュラスを襲い、かなり壊滅的な被害を与えていた。当時、同期のホンジュラス隊員からE-mailで伝えられた被害の大きさは、現在のニューオーリンズのそれにひけをとらない。しかも、ニカラグアもホンジュラスも発展途上国である。被災直後の救助活動や医療、物資の調達、その後の復興にいたるまで、当時の被災者の苦労は計り知れないものだったろう。

もちろん当時も、国際的な支援は寄せられていた。現地の協力隊員たちも、日本社会にむけて義援金活動を行っていた。しかし、今回のような日本企業の大口援助があった、とは聞かなかった。

民間企業の目的は、利益を出す事である。カトリーナのせいで、アメリカ現地の生産ラインが止まった日系企業も多いらしい。アメリカ市場は日本企業にとっても重要な市場で、早急に復旧してもらわないと困るだろうし、日頃なにかと評判の良くない日系企業イメージを回復する絶好の機会でもあるだろう。今回の自動車各社の援助の裏に、こういった計算が働いていたとしても不思議ではないし、実際に被災者の役に立つのなら、とやかく言うのも大人げない事かもしれない。

でもしかし、やはり少々露骨すぎるようにも感じる。ついこの間のスマトラ島沖地震の時も、こんな対応は聞かなかったように思う。やはり98年、パプア・ニューギニアの北部、アイタペ地方を津波が襲い、三つの村が壊滅し、三千人が命を落とした時、私達パプア・ニューギニア協力隊も日本に向けて義援金を募ったが、企業からの大口寄付は一件も無かったように記憶している。

やらないよりは、やった方が良いんだろし、実際被害に遭われた方々にしたら、どんな裏があれ、援助は助かる事なのだろうが、もう少し商売抜きに、広く人道的見地に立ってやってもらえたらな、とも思う。
天災の被害に遭った時は、アメリカ人もパプア・ニューギニア人もホンジュラス人もニカラグア人もインドネシア人も、黒人も白人も有色人種もキリスト教徒もイスラム教徒も金持ちも貧乏人も先進国も途上国も、関係なく助けて欲しいはずなのだから。

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コメント

はじめまして。『歌激』のさよと申します。
トラックバックいただき、ありがとうございます。
被災者に貴賎なし・・・ほんとうにそう思います。
今回の災害のニュースを聞いて最初に感じてしまったのが、各企業からの援助に対するなんで?でした。記事を書いたあと、この週末はひどく自己嫌悪になりました(苦笑)
なのでトラックバックは救いの手でしたよ。

協力隊にいらしたのですね。私は若いときはアジアをふらふらして、今はなかなか仕事で時間がとれず旅はできませんが、ホストチャイルドがホンジュラスにいて彼の成長を楽しみにしつつ、交流をさせてもらっています。
ブログ、拝読させていただきます。

投稿: さよ | 2005/09/05 15:27

さよさん、コメントありがとうございます。
確かにちょっと「善意の援助に、何ケチつけてんだ!」と、お叱りを受けそうですもんね(^^;。
もちろん、被害に遭われた方々の現状には同情しますが、
一方で、早々に義援金を求めるブッシュや、
まるで足並みを揃えたかのように義援金を提供する日本企業の対応に、
どうしても白々しいモノを感じてしまいます。

今は、折角送られる救援物資ならば、可及的速やかに被災者の手元に届けられ、
日常生活の復旧に役立つことを祈らずにはいられません。

投稿: Q | 2005/09/05 17:23

トラックバック返信、ありがとう。
地震も津波もハリケーンも森林火災も
自然界が今の人類へ制裁を加えるように
今後も様々に出てくるかも知れないけど、
そのとき、自分には何ができるだろうか? 
素直に そう思った瞬間。
そこからスタートしたことを常に忘れないように
自分にできることをやって行く。
そういう気持ち、大切にしたいです。

投稿: みなみ まさあき | 2005/12/11 14:34

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