« お門違いだろ | トップページ | 種の壁を越える、愛 »

2006/03/17

虚弱猫トントの出産

昨夜、2時頃だったか、飼い猫の茶虎のキジ猫、トントが子猫を三匹出産した。

トントは昨年の秋頃に、母親が勤め先の近所で拾ってきた猫だ。拾ってきた当初は骨と皮だけの、餓死寸前のような猫だった。息も荒く、胸とお腹を大きく動かして、ゼェゼェ言いながら呼吸をする。ぱっと見て、猫エイズか白血病で末期の年寄り猫か、と考えた。母もその姿に見かねて、せめて最後くらいは楽にさせてやろう、と拾ってきたのだ。

しかし、よく観察してみると、ちょっと末期猫とは違う。
まず顔がきれいな状態だった。猫エイズ末期の猫などは、目やにがひどく、口の中も荒れているのが普通だ。また、特に下痢をしているわけでもなく、毛もさすがにパサついているが毛並みは悪くない。しんどそうに横になっていることが多いが、動けないわけでもない。餌も少食ではあるが、普通に食べている。ガリガリに痩せて息が荒い以外は、意外と健康体なのだ。不思議に思いつつ、しばらく様子を見ることにしたが、十日ほど経っても相変わらず荒い息で痩せたまま。通常、栄養状態のよいカリカリキャットフードを食べていれば、せめて体重くらいは増えるだろう、これは寄生虫でもいるのか、と母が動物病院に連れて行ってみて初めて事情が分かった。

この子は思っていたよりも若い猫で二~三歳くらいだろうとのこと。痩せているのは寄生虫のせいでも病気のせいでもなかった。レントゲンを撮って分かったのだが、横隔膜が肺のほうに上がっているとのこと。どうやら、交通事故とか誰かに蹴られたとか、物理的な衝撃を受けてそうなったようだ。そのせいで肺が圧縮されて息が荒くなり、内臓も十分に機能していないらしく栄養摂取が悪い。そのためなかなか太れず痩せていて、また体力も低いままなんだとか。外科手術でなおす事もできるが、個体への負担が大きく、この体力では耐えられないだろう、幸い普通に生きていく分には問題がないようだし、このまま世話してやった方がいい、とのことだった。

まぁ、そんなこんなで、トントは我が家で静かな猫としての生活を送っていた。もともと飼い猫だったらしく(どうやら前の飼い主は夜逃げしたらしい)、人なつこく、性格もおとなしい子で、まさかサカリがついていたとは誰も気がつかなかった。我が家には他に6匹の猫がいて(犬とウサギも各一匹いる)、ちょうどそのうちの一匹が避妊手術の時期だったので、そっちに気をとられていたこともある。
ある日、ふと気がつくとトントのお腹が一回り大きくなっていた。ようやく栄養状態がよくなってきたのか、と考えていたら、妊娠していたのだ。

それはそれで、そこまで猫として健康体になってきたのか、と喜ばしい事なのかも知れないが、気がかりなこともあった。先述の動物病院の先生に、やはり体力的な面からトントの避妊手術はできないし、まして出産なんて、最悪母子共に死ぬかもしれない、と言われていたのだ。そうはいっても、もうこうなったら成り行きにませるほか仕方がない。交尾の時期が特定できないので、正確な日はわからないが、出産は四月初旬頃だろうというので、それを待つことになった。

昨夜、風呂に入ろうとしたら母親の寝室の灯りがついている。どうしたのかと思ったら、母の布団の中で、出産が始まっていた。

最初に生まれてきた子猫はトントに似た茶虎だった。かなり小さい。やはり早産なのか、それともトントの身体的な制約のせいなのか。しかし、生まれても、親のトントはあまりかまってやろうとしていない。どうやら、かなり体がしんどいようだ。子猫も声はあげるものの、すこしぐったりとして、体温が低下している。やはり駄目か、と思いながら、体を拭いて、暖めてやる。しばらくすると、子猫はトントのお腹をまさぐり始めた。一生懸命乳首をくわえようとするが、どうもうまくいかない。何度も乳首のところへ顔を持って行ったりしているうちに、二匹目の出産が始まった。今度は黒いキジ猫だ。なんとか産み落としたものの、やはりトントは疲れてしまい、臍の緒を切れないでいる。母が何とか処理したが、子猫は声を上げない。鼻や口をテッシュで拭いて、逆さにして少し振ってやる。かすかに鳴き声を上げた。とりあえず一安心。

しばらくすると、二匹はなんとか元気がでたようで、鳴き声を上げて母猫にとりつくようになった。まだお腹に一匹ほどいそうだったが、とりあえず大丈夫そうなので、その場は母に任せて寝ることにする。翌朝見てみると、もう一匹、灰色の子猫が生まれており、三匹そろって乳を吸っていた。体重を計ってみたら、灰色が85g、黒が100g、茶虎も100gだった。少々小さいが、なんとか基準値内である。

もちろんトントも元気である。出産中はあまり母猫らしい姿をみられなかったが、今はしっかりとお母さんをやっている。私が体重を計る為に子猫を取り上げると必死になって取り返しにくる。母子共に死ぬかも、と言われていたのが不思議なくらいだ。生物ってのは、すごいもんだ。

新しい命の誕生に、人間だけでなく、他の猫や犬もそわそわしている(ウサギはさすがに無関心)。
とにかく元気に成長して欲しい。また折を見て記事にします。

030201

|

« お門違いだろ | トップページ | 種の壁を越える、愛 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 虚弱猫トントの出産:

« お門違いだろ | トップページ | 種の壁を越える、愛 »