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2007年9月の8件の記事

2007/09/25

新チャンピオン、ケーシー・ストーナー

23日にツインリンクもてぎで開催されたMotoGP日本グランプリで、ドゥカティマルボロチームのオーストラリア人ライダー、ケーシー・ストーナーが6位入賞を果たし、2007年の年間チャンピオンを獲得した。新チャンピオンの誕生である。

今年はまさにストーナーの為のシーズンだった。ここまで15戦中8勝を挙げ、5年連続最高峰クラスチャンピオンの『王者』バレンティーノ・ロッシに完全に土を付けた。ロッシは昨年も、レプソルHONDAのニッキー・ヘイデンにチャンピオンを穫られているが、ニッキーファンには悪いが、昨年はニッキーが強かったというよりもロッシに運がなかっただけと言う方がぴったりのシーズンだった。チャンピオンを決める最終戦で転倒したのはロッシのミスだが、それ以前のレースで他のライダーに押し出されるアクシデントや、マシントラブルでのリタイアがなければ、余裕でチャンピオンを獲得していた筈だからだ。

それに比べると、今シーズンはストーナーがガチンコでロッシを下したシーズンだった。もちろん一部のレースでは今年もロッシに不運なアクシデントなどがあったが、それを差し引いてもストーナーの強さは変わらない。特にカタールや中国、カタルニアなどでロッシとのバトルになった時、これまでならこの手のバトルは、最後は多少強引でも絶対にロッシが勝っていたのに、三戦ともストーナーが競り勝っている。

また、圧倒的なドゥカティの直線の速さと、ブリヂストンタイヤの性能向上、今年から導入されたタイヤの使用本数制限などがロッシに不利に働いている、という声も聞かれるが、これは言い訳にはならない。マシンやタイヤの性能に差があるのは当たり前の事だし、使用本数の制限も、ミシュランにだけ厳しいという訳ではない。さらに、ドゥカティとブリヂストンの組み合わせなら誰でも速い訳ではなく、ストーナーだけがずば抜けて速いのだから、明らかに彼の才能が高いのだ。

ケーシー・ストーナーについては125を走っている頃から気にはなっていた。確かに速いライダーなのだが、いつもあと一歩足りなくて、ペドロサやドヴィジオーゾといったライバルに負けているという印象があったからだ。そしてその足りない一歩は彼の実力ではなく、マシンやチームといった体制面だろうと常々感じていた。2004年に125ccクラス参戦2年目のKTMのファクトリーライダーになってはいるが、それ以外はずっとサテライト(ファクトリーマシンではあったが)。スペインの新星として、HONDAから全面的にバックアップを受けているペドロサを見て、ずいぶん悔しい思いをしているだろうな、と思っていた。

今シーズン、『サテライトでチャンピオンを穫ったライダーはいない』と皆が欲しがるHONDAのシートを捨ててドゥカティに移籍したのも、そういった過去が影響しているのは間違いない。しかし、それまで勝ち星こそ挙げてはいるが、安定した成績を残していないドゥカティとブリヂストンを選ぶのは、ストーナーにとっても大きな賭けだったはずだ。実際、開幕前のテストではドゥカティに少し手こずっていたこともあり、ストーナーをチャンピオン候補に挙げる声は皆無だった。もちろん、私もストーナーがここまで快進撃を続けるとは思いもしなかった。MotoGP関係者やファンの鼻を見事に明かし、大きな賭けに勝ったストーナー。奥さんのアドリアーナちゃんもカワイイし、来年もがんばってほしいね。ストーナーが勝つと彼女も国際映像に映る回数が増えるからさ(^_^;。

ALPINESTARS Web Site

2864099013 ケーシー・ストーナーとアドリアーナ

来年、YAMAHAは今度こそロッシのチャンピオン奪回に向けて、万全の体制で挑んでくるだろう。今年不調だったHONDAもMotoGPの盟主の意地にかけて、RC212Vを勝てるマシンに仕上げてくる。ここ数シーズン上向き好調なSUZUKI、Kawasakiも侮れない。王者ロッシに対する強力な対抗馬の登場とメーカーの群雄割拠。来年以降、ロッシが引退するまでのシーズンが、ファンにとって非常に興味深いものになることは間違いない。気の早い話ではあるが、今から楽しみである。

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2007/09/13

安倍首相の辞任について

いきなりの辞任表明から一夜。

当たり前だが、安倍首相の無責任さ、いい加減さを非難する論調が圧倒的である。
まぁ、バンソーコーの赤城ナントカもそうだが、世間知らず、苦労知らずの二世三世ボンボン政治家なんて、こんなもんだ。
ついでに、普段勇ましい事を言っているくせに、いざとなるとさっさと逃げるタカ派の典型だね。

こんな三流政治家でも、森ナントカがそうであるように、必ずあとあと『前総理』とか『元総理』とかいう肩書きで、偉そうなことをしたり顔でいうようになる。そうならないように、今回の前代未聞のみっともない辞任劇をしっかりと記憶して、こんな政治家が二度と国政の表舞台に立たぬように注意しよう。我々有権者の意識の高さも問われている。

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2007/09/11

光って踊るって…

光って踊る卵 ソニーが「体感型」音楽プレーヤー

2007年09月11日08時04分

 ソニーは10日、音楽に合わせ踊るように動く卵形音楽プレーヤー「Rolly(ローリー)」を29日に発売すると発表した。バッテリーを含め300グラムの手のひらサイズで、両端にスピーカーを内蔵。スピーカーのふたが羽のようにパタパタと開閉しながら、本体が光ったり、回転したりして音楽を再生する。

 オーディオ技術にロボット技術を組み合わせた。両端のスピーカーから、音を机や床に反射させることで、本体上部に立体的な音を作り出す。「高音質な音楽をみんなで『体感』できる音楽の新しい楽しみ方を提案する」という。

 操作ボタンは電源スイッチとプレーボタンのみ。曲送りや音量調節などは本体を上下に振ったり、前後に転がしたり、本体のホイールを回したりして行う。

 踊る機能は、付属のソフトで自由に動きを設定可能。音楽はCDや専用の配信サイトからパソコンで取り込み、1ギガバイトのフラッシュメモリーに転送して保存できる。電源は充電式のリチウムイオン電池で、音楽だけなら約5時間、踊り付きなら約4時間連続再生可能。店頭想定価格は4万円前後。

asahi.com

私の感覚がもう最近の流行についていけてないだけなのかもしれないが、それでも、これ、一体誰が買うのだろう? 4万も出してこれ買って、楽しむ図というのが今イチ想像できないのだが…(^_^;。操作方法なんか、ずいぶんiPodを意識しているようだけれど、これだったらiPod touch買うなぁ。

iPodに圧倒されてつづけているSONY、一発逆転となればいいんだけれど、返り討ちにあいそうだよね。

<追記>

さっきRolly Official Siteで動画をみてみたが、やはりどうなの?って感じ。最初は面白いかもしれないが、音楽かけるたびにあれが机の上で動き回っていたら、うっとうしいと思うのは私だけ?

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2007/09/10

安倍さんはとっとと海を渡れ

給油、継続できなければ退陣 安倍首相「職を賭す」

首相は「これは対外的な公約だ。私の責任は重たい」と、活動継続が国際公約になったとの認識を表明。

2007年09月10日11時28分 asahi.com

自分で勝手に約束しておいて、国内に対しては「もう言っちゃったんだから」なんて、まるで後だしジャンケンみたいなセコいやり方だ。ついでに、国際公約って言っても、アメリカとオーストラリアに対してだけだろ。

所信表明演説では、『灼熱のインド洋で黙々と勤務に従事する自衛隊員こそ、世界から期待される日本の国際貢献の姿です。』って、世界ぢゃなくて、アメリカのブッシュの期待だろうが。

最初の記事の末尾に、

『参院選の自民党の歴史的大敗という民意を受けても辞めないのに、ブッシュ大統領から要請されれば、なぜ「職を賭す」のか。』

とあるが、ホントにその通り。そんなにブッシュが好きなら、どうぞアメリカに移住してください。お友達のブッシュがきっとすぐに永住権を出してくれるよ。

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2007/09/09

盗人猛々しいとはこの事だ

宮路議員、二重計上は「微々たるミス」

 宮路和明・自民党衆院議員の選挙運動費用収支報告書と、本人が代表を務める党選挙区支部の政治資金収支報告書に二重計上が発覚した問題で、宮路議員は8日、鹿児島県日置市内で取材に応じ、「社会保険庁や役所、NHK、一流企業ですら、経理ミス、補助金ミスはしょっちゅうある。そういうものから比べれば、全く全く微々たるもの」と述べた。

(2007年9月9日3時23分 読売新聞)

ハァ? なんじゃそりゃ?

よそがミスしてれば自分とこも構わないってか。呆れるのを遥かに通り越すロジックだ。まさにこういうのを『盗人猛々しい』というんだろう。

この宮路議員は、選挙運動費用の収支報告書に、法律で義務付けられている約580万円分の経費の領収書を添付しなかった上に、そのうちの約540万円分を、自分が代表を務める自民党支部の政治資金収支報告書にも経費として記載し二重計上していたそうだ。事務所は「二重計上については失念していた。領収書を添付しなかったのは勘違いで、事務的ミスだった」と認めたそうだが、普通の会社で500万もの金の領収書を、勘違いで添付しなかったなんてあり得ない。その上二重計上なんてしたら懲戒免職、最悪刑事告発モンでしょ。

ここ最近の自民党のセンセイ方からは、懲りもせずに後から後から、まさに雨後のタケノコのようにこの手の金の不祥事がわいて出てくる。おまけにどいつもこいつもそろって百万単位の金の話なのに、記載ミス、事務処理ミスで済ませてしゃあしゃあとしている。どれだけ自分たちが世間一般常識とズレているのか、ぜんぜん理解できていない。だいたい、『微々たるもの』って、500万円だよ!? おそらく今の一般的なサラリーマンの平均的な年収よりも多いくらいだろう。こんな奴らに政治を任せておいても我々の生活は絶対に良くなんかなりはしない。宮路議員他問題の自民党のセンセイ方。期待がしないが、まだ政治家としてのプライドが心に一欠片でも残っているのなら、今すぐ辞表を提出してください。

ま、期待はしてないけれどねぇ。どうせあんたらの『プライド』こそ、微々たるもんだろうからねぇ。

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2007/09/05

沼田憲保選手のご冥福をお祈りいたします

二輪レーサー:沼田憲保さんが練習走行中に事故死 岡山

 4日午前10時50分ごろ、岡山県美作市滝宮の岡山国際サーキットで、オートバイの練習走行をしていた千葉県流山市松ケ丘4、二輪レーサー、沼田憲保さん(41)が、ヘアピンカーブを曲がりきれずコース脇のタイヤを積み上げたクッションに衝突し、胸などを強く打って死亡した。

 沼田さんは95、96年の全日本選手権GP250のチャンピオン。97、98年には世界選手権GP250に参戦するなど、日本を代表するレーサーとして知られた。【石戸諭】

毎日新聞 2007年9月4日 20時35分

この記事を見たとき、正直我が眼を疑った。

記事にもあるように、沼田選手は二年連続の元全日本250クラスチャンピオンであり、世界GP参戦も経験している実力派ベテランライダーなのだ。そんな人が、レースではなく練習走行中に亡くなるなんて。もちろん練習中であってもレーシングスピードで走る以上、危険と隣り合わせであることには変わりはない。それでもにわかには信じられなかった。

沼田選手といえば思い出すのは、ライスポか何かに掲載されていたインタビュー記事だ。沼田選手はマシンを理解する能力に優れていると評判だったが、それは、いつもサーキット走行を行った後、セッティングデータや気象データと一緒に、その時の走行状況、マシンの挙動がどうだったかなどを文章にして克明にノートに記していたからだという。もともとはメカニックに正確に自分のマシンの状態を伝えるための言語化訓練だったらしい。「あそこの出口でアクセルをガバっとあけたらリアがザーッと滑って」みたいな擬音で説明してもダメで「出口から何mの辺りで、ギアと回転数がいくつのときにアクセルをこれだけあけたらリアがこれだけ滑った」という具合に、起こった事象を具体的かつ正確に述べるように心がけていたそうだ。

それだけに、セッティングに関する言葉については鋭い感覚を持っていたようで、世界GPに参戦した時、普段日本のサーキットで普通に使っていたとあるカタカナ用語を英語だろうと使ってみたら、ヨーロッパのメカニックには全然理解してもらえず、後で『その症状は○○というんだ』と教えてもらった、というようなことを述べていた。いかにも沼田選手らしいエピソードだと思った。

95、96年当時の全日本250クラスは、HONDA、YAMAHA、SUZUKIのワークスが参戦し、ライダー層も厚い激戦区だった。その中で、決して戦闘力が高いとはいえないSUZUKI RGV-Γが二年連続のチャンピオンマシンに輝いたのは、そんな努力に支えられた沼田選手の功績によるところが大きい。また、スポット参戦した96年の日本GPでは二位表彰台を獲得している。

しかし、念願叶って参戦した世界GPでは、当初こそSUZUKIの世界GP250クラス復帰を歓迎する各国マスコミやファンに注目されたが、マシンの性能差は全日本の比ではなく(余談だが、そのころ全日本のスズキワークスでV-Γを走らせていた亀谷選手は、あるレースで道を譲ってくれた周回遅れの市販RSをメインストレートで抜こうとして抜けなかったそうで、市販車のストレート加速に勝てないワークスマシンにショックを受けたそうだ。)、頼みのスズキからもこれと言ったサポートは受けられず、慣れない海外のサーキットという事もあってか、目立った成績を残せないまま撤退した。年齢的にも脂ののった時期だったので、さぞかし無念だったろう。

ここ最近、チェコでの関口選手や、 SUGOでの奥野選手と、大きめの事故が続いている。サーキットで限界まで攻めて走るプロフェッショナルライダーの場合、事故は避けられない物ではあるが、今後可能な限りこのような悲劇を起こさないですむように、関係各所には今回の沼田選手の事故を徹底的に調査してもらいたい。

沼田憲保選手のご冥福をお祈りいたします。

<2008年2月22日追記>
こちら→の欄の、『Nais Buks〜おすすめの本』にある、『RIDING SPORT (ライディングスポーツ) 2007年 11月号 [雑誌]』に、沼田選手の追悼記事が掲載されています。未読の方はぜひご覧になってください。

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2007/09/03

SiCKO(シッコ) 〜人が生きて行くと言う事について〜

マイケル・ムーア監督の最新作『SiCKO』を観た。

映画の前に少し運動をして疲れてしまい、つまらないドキュメンタリーだったら絶対に寝るな、と思っていたのだが、前日にネットで席を予約してしまったので、仕方ないと観念して映画館に足を運んだ。

ところがどっこい。全くの杞憂だった。

とてつもなく興味深い内容満載で、飽きる暇がなかった。いろいろ評論されているように、間違いなくマイケル・ムーア監督の最高傑作だ。

この映画は、宣伝されているように、アメリカの医療制度の異常さについて取り上げている。しかし、映画で語られているのはそれだけではない。民主主義の意味や意義、人が豊かに生きる為には何が必要なのかといったような事が、アメリカの医療制度の問題を通じて浮かび上がってくる。

映画の中で言われていたと思うが、人間、普段の生活にゆとりと安心がないと希望が生まれない。希望がなくなった国民は、現状を変えることを諦めてしまう。それこそが企業と為政者の狙いで、そうならないように民主主義のシステムを有効に活用しなければならない。行動を起こそう、と語りかけてくる。

翻って我が日本。先日、救急車で搬送されていた妊婦が、病院をたらい回しにされて流産するという痛まし事件があった。この件については、病院側にも、妊婦側にも、事情も非とされる点もあったようで一概に誰が悪いとは言えないようだが、一つだけ真実なのは、日本の医療制度、医療環境も、決してほめられたもんじゃない、という事だ。

現在、日本で出産するのにはン十万単位の金がかかるという。今後増えてくると思われる低所得者層には結構キツい金額だ。それに、事情があってシングルマザーになる女性も増えている。そんな女性が妊娠した時、既に職に就いていれば出産まで働くことも可能だろうが、無職だった場合、出産費用を稼ごうと思っても、パートでも雇ってくれる職場はそうそうないだろう。また、職があっても、経済的な後ろ盾とゆとりのある産休をとれる人はそんなに多くないはずだ。むしろ出産を理由に退職を迫られるような事の方が多いのではないか?

さらに、産婦人科医を巡る状況も厳しいものがある。現在の日本では、産婦人科医は予約された救急患者の面倒を24時間みているのとかわらないという。終わりのない激務で疲れている上に、最近は高齢出産なども増え、医療事故のリスクも増えている。さらに、医療事故に対しての訴訟も増えていて、産婦人科医の中には精神的に消耗してリタイヤしていく人も少なくないそうだ。

少子化対策が叫ばれて久しいが、まずはこういったところから改善していくべきではなかろうか? 医療費の自己負担分を増やす前にさ。まぁ、アメリカ万歳の安倍自民&公明政権は、アメリカみたいに、病院が支払い能力のない患者を路上に放置する国が『美しい国』だと思っているんだろう。まずは国会でSiCKOの上映会をやってもらおうか。もちろん有料でね。

一つだけ映画にケチつけるとしたら、ムーア監督の顔。痩せたのはいいけれど、その分愛嬌がなくなって表情が険しすぎ。それがチト残念。

<追記>
この記事を書いたすぐあとの9月21日に大阪で、堺市北区の新金岡豊川総合病院の職員が、全盲の入院患者を公園に置き去りにしていた事が11月14日に報道された。あぁ、世も末か。

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2007/09/02

キリバス、悲しき決断

「我が国は海に沈む」キリバス大統領が全10万人移住計画

 【タラワ(キリバス)=仲川高志】地球温暖化に伴う海面上昇により、国土が水没の危機にひんしている太平洋の島国キリバスのアノテ・トン大統領(55)は本紙と会見し、「我が国は早晩、海に沈むだろう」と明言。

 国家水没を前提とした上で、国民の脱出を職業訓練などの形で側面支援するよう、日本など先進各国に要請した。

 首都タラワの大統領官邸で、30日、インタビューに応じたトン大統領は、キリバスの水没は不可避との見方を強調、「小さな我が国には海面上昇を防ぐ手だてなどなく、どうしようもない」と述べた。国際社会の取り組みについても、「温暖化は進んでおり、国際社会が(2013年以降のポスト京都議定書の枠組みなどで)今後、どんな決定をしても、もはや手遅れだ」と明確に悲観論を展開した。

 また大統領は、温暖化に伴う海面上昇について「国民の平穏な生活を奪う『環境テロ』」と強く非難。京都議定書に参加しない米国、オーストラリアを名指しで挙げ、「我が国は存亡の危機にひんしているのに、高い経済水準を保とうとしており、極めて利己的だ」と批判した。

 大統領は、10万人近くに上る国民すべての移住政策を、政府がすでに本格的に検討していることも明らかにした。大統領は、「たとえ受け入れ国で人気のない職業でも構わない。『環境難民』ではなく『熟練労働者』として移住させたい」と希望を表明。そのためには、まず、キリバス国内で職業訓練や語学習得を行う必要があるとして、日本や米国、オーストラリアなどに支援を訴えた。

 側近によると、トン大統領は、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次評価報告書を重視。今世紀末に世界の平均海面水位が最大59センチ上昇するなどとした同報告書を「根拠」に、見通しを立てているという。

 ◆キリバス

 太平洋の赤道直下、東西約3900キロ・メートルにわたって点在する33の環礁から成る。ほとんどが海抜3.5メートル以下。人口は約9万9000人(2005年推計)。

(2007年9月1日9時57分 読売新聞)

自分たちの落ち度でもなければ、自分たちに何らかの恩恵がある訳でもないのに、故郷が海に沈み行く事を受け入れなければならないとは、なんと悲しい話だろう。トン大統領の言う通り、アメリカとオーストラリアはその利己主義を恥るべきだ。

また、私を含め、日本に暮らすわれわれも、この事については罪を負うべきだろう。便利な生活に慣れきっているわれわれは、便利さを追求するあまり日頃どれだけ無駄にエネルギーを使っているか、意外とわかっていない。例えば、日本全国どこにでも置いてある自動販売機全部が使う電気をあわせると原発一つ分になるという。

かと言って、一度手に入れた利便性、快適さは、なかなか手放せないものだ。今年の夏は温暖化を心底実感できる暑さであったが、だからクーラーを使わないで温暖化を防止しよう、という人よりも、温暖化は二の次、とにかく今はクーラーの設定温度を下げてしまえ、という人の方が多かったと思う。クールビズだチームー6%だとやってはいるが、エネルギーの浪費を抑えようという機運が高まっているとは言いがたい。

以前にも似たような事を書いているが、やはりこういった事を解決しようとする際には豊かな想像力が必要となる。温暖化が自分たちの生活や将来にどう影響するのか、といったことを考えるのは当然だが、なによりキリバスの人たちの立場で考えてみる必要があると思うのだ。よその国の連中がのうのうと暮らすツケで、自分の故郷が海に沈む。なんとも受け入れがたい話ではなかろうか?

しかし想像してみろと言われても、キリバスなんて国、聞いた事すらないのに感情移入なんかできるか!という方も多いだろう。私自身、キリバスに行った事はない。だがキリバスの人たちに直接接した事はある。2000年のニューカレドニアと2004年のパラオで行われたFestival of Pacific Arts、太平洋芸術祭の会場でだ。彼らが見せてくれたパフォーマンスは私のお気に入りの一つである。マスゲームのようなユニークな振り付け、女性の滑らかで可愛らしい腰の動き、そして美しいハーモニーを聞かせるその歌声。あまり画質のいい映像ではないが、YouTubeに2004年パラオ大会でのキリバスのパフォーマンスをUpしました。ぜひご覧になってください。10分きっちりあります。

こういった文化や芸術といったものは、多分にその生活環境に影響をうけている。それでなくても人口が多いわけではないキリバスが、その祖国を失い、移住先で人々が散り散りになってしまえば、あっという間に廃れてしまうだろう。それだけでも大変もったいない事だし、人類全体としても大きな損失だと思う。この映像をみて、素晴らしいと思ったあなた。明日から空調の温度設定には気をつけてみてください。

地球温暖化の影響による海面上昇のせいで国土が沈む国としては、同じく太平洋の環礁からなる国、ツバルも有名だ。こんな写真集も出ているのでこちらも機会があったらご覧になってください。こんな倹しい生活の彼らが、なぜ土地を追われないといけないのか? やはり深く考えるべきではないだろうか?

また、かれらのパフォーマンスもとても素晴らしい。集団でのタライドラミングと美しいハーモニー。そして、女性達のくったくのない明るい表情と愛らしい仕草。こちらも2000年ニューカレドニア大会でのパフォーマンスをYouTubeにアップしたので、ぜひご覧になってください。

こちらが2004年、パラオでのキリバスのパフォーマンス。

こちらが2000年、ニューカレドニアでのツバルのパフォーマンス。

※The 10 th Festival of Pacific Arts、
 第10回太平洋芸術祭は、
 来年2008年7月から8月にかけて、
 アメリカンサモアで開催されます。
 詳細はこちらのリンク先をご覧ください。

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