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2007/09/05

沼田憲保選手のご冥福をお祈りいたします

二輪レーサー:沼田憲保さんが練習走行中に事故死 岡山

 4日午前10時50分ごろ、岡山県美作市滝宮の岡山国際サーキットで、オートバイの練習走行をしていた千葉県流山市松ケ丘4、二輪レーサー、沼田憲保さん(41)が、ヘアピンカーブを曲がりきれずコース脇のタイヤを積み上げたクッションに衝突し、胸などを強く打って死亡した。

 沼田さんは95、96年の全日本選手権GP250のチャンピオン。97、98年には世界選手権GP250に参戦するなど、日本を代表するレーサーとして知られた。【石戸諭】

毎日新聞 2007年9月4日 20時35分

この記事を見たとき、正直我が眼を疑った。

記事にもあるように、沼田選手は二年連続の元全日本250クラスチャンピオンであり、世界GP参戦も経験している実力派ベテランライダーなのだ。そんな人が、レースではなく練習走行中に亡くなるなんて。もちろん練習中であってもレーシングスピードで走る以上、危険と隣り合わせであることには変わりはない。それでもにわかには信じられなかった。

沼田選手といえば思い出すのは、ライスポか何かに掲載されていたインタビュー記事だ。沼田選手はマシンを理解する能力に優れていると評判だったが、それは、いつもサーキット走行を行った後、セッティングデータや気象データと一緒に、その時の走行状況、マシンの挙動がどうだったかなどを文章にして克明にノートに記していたからだという。もともとはメカニックに正確に自分のマシンの状態を伝えるための言語化訓練だったらしい。「あそこの出口でアクセルをガバっとあけたらリアがザーッと滑って」みたいな擬音で説明してもダメで「出口から何mの辺りで、ギアと回転数がいくつのときにアクセルをこれだけあけたらリアがこれだけ滑った」という具合に、起こった事象を具体的かつ正確に述べるように心がけていたそうだ。

それだけに、セッティングに関する言葉については鋭い感覚を持っていたようで、世界GPに参戦した時、普段日本のサーキットで普通に使っていたとあるカタカナ用語を英語だろうと使ってみたら、ヨーロッパのメカニックには全然理解してもらえず、後で『その症状は○○というんだ』と教えてもらった、というようなことを述べていた。いかにも沼田選手らしいエピソードだと思った。

95、96年当時の全日本250クラスは、HONDA、YAMAHA、SUZUKIのワークスが参戦し、ライダー層も厚い激戦区だった。その中で、決して戦闘力が高いとはいえないSUZUKI RGV-Γが二年連続のチャンピオンマシンに輝いたのは、そんな努力に支えられた沼田選手の功績によるところが大きい。また、スポット参戦した96年の日本GPでは二位表彰台を獲得している。

しかし、念願叶って参戦した世界GPでは、当初こそSUZUKIの世界GP250クラス復帰を歓迎する各国マスコミやファンに注目されたが、マシンの性能差は全日本の比ではなく(余談だが、そのころ全日本のスズキワークスでV-Γを走らせていた亀谷選手は、あるレースで道を譲ってくれた周回遅れの市販RSをメインストレートで抜こうとして抜けなかったそうで、市販車のストレート加速に勝てないワークスマシンにショックを受けたそうだ。)、頼みのスズキからもこれと言ったサポートは受けられず、慣れない海外のサーキットという事もあってか、目立った成績を残せないまま撤退した。年齢的にも脂ののった時期だったので、さぞかし無念だったろう。

ここ最近、チェコでの関口選手や、 SUGOでの奥野選手と、大きめの事故が続いている。サーキットで限界まで攻めて走るプロフェッショナルライダーの場合、事故は避けられない物ではあるが、今後可能な限りこのような悲劇を起こさないですむように、関係各所には今回の沼田選手の事故を徹底的に調査してもらいたい。

沼田憲保選手のご冥福をお祈りいたします。

<2008年2月22日追記>
こちら→の欄の、『Nais Buks〜おすすめの本』にある、『RIDING SPORT (ライディングスポーツ) 2007年 11月号 [雑誌]』に、沼田選手の追悼記事が掲載されています。未読の方はぜひご覧になってください。

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