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2008/07/06

アッセンは今年も雨だった?【MotoGP第9戦オランダGP】

シーズンの折り返しとなるMotoGP第9戦の舞台は、GP史上唯一の毎年開催皆勤賞、オランダは伝統のアッセン、ファン・ドレンデ・サーキット。最長ストレートは560mと短いのだが、キツ目の路面カントのおかげでコーナリングスピードをかなり高くキープできるそうで、テクニカルでアベレージスピードが高いことと、『ダッチ・ウェザー』と呼ばれる崩れやすい気まぐれな天気が特徴となっている。宗教上の理由で土曜日に決勝が行われるのもここだけで、おかげで毎年ビデオ録画を忘れてしまう

125ccクラスは2番グリッドのブラッドリー・スミスがホールショットを決め、早々に集団から抜け出す。そのままトップをキープして、自身の初優勝に向け3秒以上のアドバンテージで独走中の10周目、いきなり転倒。またしてもやっちゃったか、と思ったら、雨が降ってきたせいだった。この周、2位走行のエフレン・バスケスやマルク・マルケス、他2名も転倒していて赤旗中断。規定周回数に満たなかったため、2ヒート制になった。

2ヒート目は、フランスの時と同じく残り5周のスプリントレースに。ウェット宣言が出されたものの、ダッチウェザーらしく降り出した雨は結局上がってしまい、みんなスリックタイヤを装着している。転倒者のうち、4番グリッドのバスケスと6番グリッドのマルケスは、それぞれ代車がないことと、転倒後に自分のバイクでピットボックスに戻れなかったために2レース目の参戦資格を失ったことから出走できず。二人とも勢いがあったので残念だった。

聞いたことのない名前の10代ライダー達が元気だった1ヒート目にくらべ、2ヒート目は駆け引きに長けた経験豊富なライダーの走りが光った。特に1ヒートで調子の上がらなかったP.Pのシモーネ・コルシとチャンピオンのガボール・タルマクシには恵みの雨だったね。ホアン・オリベ、コルシ、タルマクシ、エステベ・ラバトの順で入ったラストラップ、スリップを使ってオリベをかわすコルシをさらにタルマクシがかわし、さらにその三人をラバトがかわす。だがラバトはまたかわされてその後にコースアウト。タルマクシ、オリベ、コルシの順でチェッカー。タルマクシは今季初優勝。ランキングも3位のオリベに1ポイント差の93で4位に浮上した。今回調子があがらなかったランキングトップのデ・メッリオは141ポイントだから、まだ狙える位置にいる。前戦に復調かと思われた小山選手は13位、中上選手はクラッシュ。う〜ん、まだだめか。

250ccクラスはスタート直前に雨が降り、ウェット宣言が出るが、ウォームアップ走行では路面はドライ。グリッド上はみなスリックタイヤを装着している。

ホールショットかとおもわれたシモンチェリがルティと接触し遅れてしまう。そしてそれを見ていたP.Pのバウティスタも同じタイミングで後退。抜け出したルティが初優勝目指して独走する。

今回、特筆すべきはその出遅れたバウティスタだろう。ファーステストラップを叩き出しながら次々にライバルをかわして5周目には2位に浮上、12周目にはルティを抜いてTopにでる。そのまま引き離すかと思われたが、何度か雨がパラつく度にバウティスタは無理をしない走りを心がけ、ルティの先行をゆるしてしまう。しかし、これは自分とライバルの力の差を見極めた上での作戦であり、雨が上がればまたきっちりポジションを回復するという、自分の掌の上でレースをコントロールする横綱相撲を見せてくれた。そして今期5度目のポールポジションにして初めてのポール to ウィン。バウティスタの実力と、ワークスアプリリアの性能がようやくかみ合ったレースだった。変なジンクスも断ち切れたし、後半戦は今まで以上に強くなりそうだ。

また、同じく出遅れたシモンチェリも怒濤の追い上げを見せ、最終的に3位入賞。乗れているシモンチェリに、08年型のマシンが貸与される話がでているらしい。シモンチェリ自身は当初、データのある07年型の継続使用にこだわっていたが、08年型のエンジン性能を目の当たりにしてテストする気になったとの事。これもうまくハマれば強力なパッケージになりそう。後半戦は白熱しそうだ。

青山選手はカリオの前の6位、高橋選手はその後ろの8位でフィニッシュ。二人とも堅実にポイントを稼ぐ。逆にこれまで堅実だったパシーニは前戦に引き続き転倒リタイア。ルーキーらしくなってきたのかな?

MotoGPクラスのフロントロウには、ランキングトップ3が逆の順位で並んだ。予選のタイム差もわずかで、三つ巴のガチンコ勝負になるかと思った一周目。ランキングトップの3番グリッド、ロッシがスタートで出遅れ、あろうことかド・ピュニエを巻き込んで転倒してしまう。

Photo

シフトレバーの頭が取れた状態にも関わらずレースに復帰し、3番目のラップタイムを刻んで追上げた結果、5pt獲得の11位で完走したのはさすがロッシ。もともと出走台数の少ないMotoGPクラスで、今回はカピロッシとホプキンスが負傷欠場している上に、巻き込んだド・ピュニエ、その後で単独転倒したデ・アンジェリスとウエストと、最終的に5人がレースから抜けていたのもラッキーだった。ランキングこそペドロサに抜かれたが、被害は最小限に抑えたと言えるだろう。まだなんとか、運はロッシに味方している、のかな?

そのロッシの運を吸い取ったかのようなチャンピオンのケーシー・ストーナー。ちょうどこのレースの直前に発売されたライディング・スポーツ8月号を読むと、皆が口を揃えて『ケーシーが問題を抱えていて大変』『強いロッシが復活』『今年はロッシVSペドロサ』と書いていて、もちろんちょっと前まで私もそう思っていた訳だが、いったいこの記事に書かれているケーシー・ストーナーとは誰の事だ?と言いたくなるくらい、今のストーナーは完全復活絶好調。レースでもポールから飛び出したまま、2位のペドロサが付け入るわずかな隙も見せずに独走で圧勝。レース後のインタビューで、『ロッシの転倒が残念、こういう形で(年間ランキングのポイント)差を縮めたくない。』なんて余裕の発言も。後半戦は去年みたいな退屈なレース展開にならないといいなぁ。

レースの大半を単独3位で走行していたのに、ラストラップの最終コーナーで電気系のトラブルが出て、目の前の表彰台を逃したニッキーはほんとに残念だった。ニューマチックバルブエンジンの選択が間違いでなかったことは証明できたから、気落ちし過ぎないで次もがんばってほしい。いい走りといえば、序盤に本当に久しぶりの上位、4番手につけていた中野選手。

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結局、ずるずると落っこっちゃったけれど、調子が上向いているのならいいね。

その中野選手をかわすバーミュレンの切り返しがとても素早くてきれいだった。

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バーミュレンと93年世界王者シュワンツ。シュワンツ監督によるMotoGPチームの来年の参戦は流れたらしい。残念。しかし老けたな、ケビン。

で、早くもその来年にむけたストーブリーグが始まっているという。中心にいるのは今回も全くいいところがなかったドゥカティワークスのメランドリィ。シーズン途中でKawasakiに乗り換える話も出ていたというから驚き。昔、ルカ・カダローラが、1シーズンで3メーカーくらいバイク乗り換えた事があったけれど、ワークスからワークスってのは、前代未聞ではないか? 結局Kawasakiの話はなくなったらしいが、メランドリィ自身、自分より速いライダーがいればシートを譲る、とまで言っているらしい。しかし、何がストーナーとメランドリィのここまでの差を作っているんだろう? ドゥカティは来年、ニッキーを獲得するつもりらしいとの報道もあるが、これは面白そうだ。

さらに話しかわって、2011年から現在の2st250ccクラスを4st600ccクラスに変更すると発表があった。うーん、600ccはでか過ぎないかぁ? World Super Sportで行われている市販車600ccのレースとかち合わないように、もうちょっと下げるかと思っていたんだが。個人的には、2気筒400ccくらいまで行ってほしかった。で、125ccの代わりは200cc単気筒ね。やっぱGPは倍々の排気量でないと。プロトタイプのエンジンなんだから、パワーもなんとかなるでしょ? まぁ、MotoGPも990ccからスタートしているから、600ccもやってく内に下がるかもね。

ともかく、時代の趨勢とはいえ、どんどん2stの活躍の場が無くなっていくのは寂しい限りだ。125ccはいつまで続くのかなぁ。

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